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高齢化進む日本社会を反映、活況呈する「熟年AV」
畳の上に静かにひざまずく着物姿のトミタヤスエさん(芸名、61)──いつ茶道の点前が始まってもおかしくない雰囲気のなか、彼女はAV女優としてデビュー作品の撮影に臨んでいた。

 撮影の準備が進む中、せわしなくまばたきを繰り返すヤスエさん。高齢化が進む日本社会で、年齢を重ねたとの理由から、諦めなければならない夢などはないとの考えを体現しているのだ。たとえそれが、みだらで型破りなものだったとしても。

 彼女は、高齢者たちの性欲に対する抑制を解き放ち、優雅に年齢を重ねることが求められる社会規範に反旗を翻す「熟年」というニッチながらも盛況なジャンルにあえて挑戦する。

「多少の衰え」があると認めるヤスエさんだが、それでもずっとやりたかったという「AV女優」の仕事に挑戦することへの後ろめたさなどは全く感じられない。

 アダルトビデオへの出演については、「やっぱりちょっとやってみたいなと思ったんですね。興味があったんです。今しかないというか、まあ老いる前に、多少体がきれいなうちにね」と話す。性行為は嫌いではないとしながらも、年齢を考えるとアダルトビデオへの出演はこれが最後のチャンスと考えているという。趣味は、カラオケや手芸だというが、これらは後回しにできるということだろう。

 しかし、撮影当日となるとやはり緊張したのか「本当に自分がやっていけるのかどうか。スタッフさんとか、こんな大勢いたもんで」とその心境を明らかにした。それでも「いろんな体験をした方がいい」「夢を追った方がいい」との考えは変わらないとインタビューに答えている。

 これまでは、車の部品などを製造する工場で「普通の仕事」をしていたと話すヤスエさん。目前に迫ったデビュー作で「負けないよう」臨みたいと抱負を語った。

 ビデオへの出演については、インターネットでの応募がきっかけとなった。娘と一緒に面接を受けたところ、娘よりも母親に先に声が掛かったため、これには娘も驚いていたという。


■進む高齢化と前途有望な「熟年」ジャンル

 高齢化が進む日本では、65歳以上の高齢者が全人口の4分の1に当たる約3200万人に上るとされる。そして低い出生率や平均寿命の延びといったことを背景に、2060年までに高齢者人口の比率は40%に達すると見られている。

 こうした統計をみても「熟年」というジャンルが有望な市場であることは驚くに当たらない。専門家によると、年間売上高の20〜30%は高齢者たちを主役に据えた作品によるものだという。

 このジャンルの人気に火が付いたのは、AV男優の徳田重男(Shigeo Tokuda)さん(80)の登場によるところが大きいと言っても過言ではないだろう。徳田さんがこれまでに出演した作品は数百本を下らないとされ、自分の孫だったとしてもおかしくない若い女性から、自分よりも2歳年下の同年代の女性まで、共演した人の年齢層は幅広い。

 熟女AV作品を数多く手掛けてきた木村文昭(Fumiaki Kimura)監督によると、このジャンルは以前から存在しているが、ここ10年間はコンスタントに作品がリリースされていると語る。また高齢者同士のアダルトビデオが見られる理由としては「やっぱりリアルというか、もちろん夫婦ともに年を取りますし、その辺だったりしますかね」と述べ、そこには親近感があることを示唆した。

 そして「年配の人は自分に重ねて見れるし、若い人は美男美女がエッチしているのに飽きちゃってる。お年寄りと女の子がやってるとか、そういう隠れた性癖じゃないですけど、マニアックなものが見たいのだと思います」と話し、性癖は人それぞれで年配同士のセックスが見たい人も少なからずいるとの考えを明らかにした。

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